【マリアージュ】タンザニアキボAAと蕎麦の相性は?
タンザニアキボAAと聞いてもすぐにイメージが湧かなかったのではないだろうか。
多くの日本人にはあまり馴染みがないように思われる。
しかしキリマンジャロと言われると一気に身近なコーヒーに感じられることだろう。
今回タンザニア産の豆を挽いたコーヒーと蕎麦とのマリアージュを通して驚きと発見があったので紹介したい。
コーヒーと蕎麦。
一見、それぞれの味がぶつかり合いそうに思うかもしれない。
しかしこの記事を読んでタンザニアキボAAについての知識を深めその味を想像出来たとき、この小さな奇跡のようなマリアージュへの興味はより一層深まっていることだろう。
タンザニアキボAAとは
タンザニアキボAAとはキリマンジャロで有名なタンザニア産のコーヒー豆で、最高規格のAAであり且つ最高品質のKIBOを戴くコーヒーだ。
アフリカ最高峰のキリマンジャロ。
山頂の氷河が溶けて地下水となり、その湧き水の恩恵を受けて育つコーヒー豆はまさにクリアなイメージそのままの味わいだ。
キボとAAについて次でもう少し詳しく説明していこう。
キボとは
キボとはタンザニア産のコーヒーで最高品質である事を示す称号である。
キリマンジャロ山は標高5,895mのキボ山、標高5,149mのマウェンジ山、標高3,962mのシラ山で構成される。
つまりキボとは最高峰のキボ山が由来であり最高品質という意味を持つコーヒーだ。
AAとは
AAとはタンザニア産コーヒーに使われる規格の事だ。
スクリーンサイズ17(豆の大きさが約6.75ミリ)以上の豆が90%以上のものということになる。
AAをトップに7段階のグレード分けがされている。
同じアフリカ大陸のケニアコーヒーは9段階のグレード分けだが、豆の形状も含めたグレード分けや欠点数といった違いがある。
キリマンジャロコーヒーとは
キリマンジャロコーヒーとは歴史上繋がりが生まれた地域で栽培されたタンザニア産のアラビカ種コーヒーの事をさす。
歴史に少し触れていくが、タンザニアの飲料としてのコーヒーの始まりはブルボン種であると言われている。
フランスから持ち込まれたブルボン種とイエメンのモカとの間に生まれた品種が東アフリカに広まっていったという歴史がある。
そのためビクトリア湖の西にあるブコバ地区のアラビカ種や、アラビカ種の栽培がほとんどない地域の豆はキリマンジャロには含まれない。
つまりタンザニアキボAAは、歴史的背景の影響を受けたキリマンジャロの最高品種、最高規格のコーヒーなのである。
ブルボン、アラビカ種とは
ブルボン、アラビカ種とは品種のことである。
コーヒー豆の原種にはアラビカ、ロブスタ(カネフォラ)、リベリカの3種がある。
アラビカ種はレギュラーコーヒーに使われる品種で、ロブスタ種は主にインスタントコーヒーやブレンドコーヒーなどに使われている。
アラビカ種はさらにティピカ、ブルボンに大別されティピカ種ではブルーマウンテンやコナ、ブルボン種ではサントスやキリマンジャロなどが挙げられる。
キリマンジャロとブルーマウンテンの違いとは
キリマンジャロとブルーマウンテンの違いとは一つに酸味がある。
ブルーマウンテンは酸味と苦味のバランスがより良いがキリマンジャロの方が酸味が強調される。
コナを加えて世界三大コーヒーと呼ばれるが、希少で高品質なコーヒーはどれも香り高く豊かな味わいで且つクリアだ。
高品質になるほどよりクリア感は増す。
そこに産地の違いが特徴として現れてくるのであろう。
キリマンジャロとモカの違いとは
キリマンジャロとモカの違いとは酸味と香りの違いによる味わいにある。
キリマンジャロの酸味は、よく使われる表現の柑橘系で言えばオレンジのような酸味であり、モカはビタミン感の強い酸味である。
モカには特有の香りがあるためこれがモカの味わいとして一つ大きな特徴を醸し出している。
モカの産地はエチオピアとイエメンがあり、キリマンジャロの産地であるタンザニアとエチオピアは同じアフリカ大陸東部に位置し、イエメンはアラビア半島南端部に位置する。
産地が近い位置にあっても、モカのように原生種だけが持つ独特の香りがあったり酸味の質の違いも出てくるね
フェイン
ゆあん
そういう違いを楽しめるのもコーヒーの面白さの一つだね
タンザニアキボAAの香りの3変化
タンザニアキボAAの香りの3変化はこのタイミングで観察し分析した。
- 開封時
- ミルで挽いた時
- 完成時
豆本来が持つ率直な香りの印象から、ミルで挽くことで解放される香り、さらに熱湯が注がれる事で立ち昇る香りの進化を具体的に伝えていく。
開封した時のコーヒー豆の香り
開封した時のコーヒー豆の香りは先ず酸味の印象が湧いてくるのだが、どちらかと言うとヨーグルトを思わせる酸味の香りに違い。
ミディアムローストは酸味が強く出るのだが、豆の段階ではまだ油分を含んだような香りの印象を受ける。
ミルで挽いた時
ミルで挽いた時の香りには、豆を挽いたことで解放されたナッツのような香りが加わる。
開封時のヨーグルトを思わせる酸味の香りの鋭さがナッツのような香りによりまろやかに抑えられるイメージだ。
完成時
完成時の香りでは不思議な現象が起こる。
あれほど感じていた酸みのある香りが無くなり、代わりにやや甘みを感じる香りが立ってくる。
マイルドなコーヒーを思わせる香りに甘みが加わりストレートでも飲みやすい印象をもたらす。
タンザニアキボAAを飲んだ感想
タンザニアキボAAを飲んだ感想は、ほどよい酸味を感じ、微かに甘みを感じる香りとさっぱりとした後味の飲みやすいコーヒーだ。
酸味についてはビタミン感というよりは、よく例えられる柑橘系で言えばオレンジの酸味に違い印象だ。
微かに香りに感じる甘さがレモンなどの酸味よりもオレンジ感を想像させるのではないかと思う。
タンザニアキボAAの後味はすごくクリアで飲みやすいんだ
フェイン
ゆあん
それだけさっぱりしているならどんな食事にも合いそうだね
タンザニアキボAAがおすすめな人
タンザニアキボAAがおすすめな人は酸味あるコーヒーが好きな人、また後に続く深いコクよりもさっぱりとした後味を好む人に向く。
朝目覚めの一杯にも重くなくおすすめである。
一日にコーヒーを何杯も飲まないと気が済まないような人にもおすすめだ。
ゲソ天蕎麦とは
ゲソ天蕎麦とはイカのゲソ(足)の天ぷらが乗った蕎麦のことだ。
イカゲソのコリコリとした食感と旨味が凝縮された蕎麦界の珍味とも言える逸品だ。
山形県が発祥の地とも言われ歴史も古い。
ゲソ天のしょっぱさに蕎麦出汁が絡みなんとも言えない味わいとなる。
山形県では食堂などでも提供されるくらいポピュラーだが、関東では立ち食い蕎麦屋が一番身近な場所である。
タンザニアキボAAでマリアージュした感想
タンザニアキボAAでマリアージュした感想としては先ず驚きという言葉が出てくる。
ゲソ天蕎麦の味の主張が強めなので負けるのではないかと思われたが、見事に調和し甘みが後に残った。
タンザニアキボAAの酸味とゲソ天蕎麦のしょっぱさはうまく調和しあってお互いの強い主張を抑えあっている。
そこに蕎麦つゆの甘さ部分が逆に強調される形で表れてくるのだ。
料理には味の相互作用というものがある。
異なる味の組み合わせや強弱により味がより引き立てられたり弱められたりする作用だ。
タンザニアキボAAの酸味とゲソ天蕎麦のしょっぱさ、蕎麦つゆの甘みが作用したとすると非常に興味深い。
タンザニアキボAAの酸味とクリアさが、ゲソ天蕎麦の塩っぱさとつゆの甘さにうまくマッチしたマリアージュだった
フェイン
ゆあん
普段の食後のコーヒーもたまには変えて試してみると発見がありそうだね
東アフリカ縦ラインでも振り返る
東アフリカ縦ラインでも振り返ってみよう。
キリマンジャロの産地エチオピアとモカの産地エチオピアは同じ東アフリカに位置する。
また、エチオピアとタンザニアの間にケニアがある。
キリマンジャロコーヒーのルーツはブルボン種であるとはお伝えした。
今回、ケニアAAマサイとブルボンの希少豆ボルボンも一緒にマリアージュしているので、詳しくはInstagramの記事を参照して欲しい。
またエチオピアモカではモカイェガーチョフがある。
こちらは別メニューでのマリアージュをしているのでそちらも併せて参照して欲しい。
まとめ
- タンザニアキボAAはタンザニア産アラビカ種(キリマンジャロ)の最高等級(AA)最高品種(KIBO)のコーヒーである
- タンザニアキボAAは酸味のあるコーヒーが好きな人、後味がさっぱりするコーヒーが好きな人におすすめ
- タンザニアキボAAとゲソ天蕎麦とのマリアージュは相性が良く蕎麦つゆの甘味が増す
- キリマンジャロコーヒーの始まりはブルボン種とイエメンモカ
和食には基本的には浅煎りのコーヒーが合う。
今回のマリアージュでは特に蕎麦つゆの甘さが強調されるという驚きと発見があった。
相互作用が影響するとなると和食とのマリアージュでは、組み合わせによっては中煎りや深煎りのコーヒーでも新たな発見があるかもしれない。
この辺りも試していこうと思う。
コーヒーは品種や歴史も調べてみるとその奥深さから、それでこういう味なんだと気付きと発見がありより一層味わい深いものとなる。
気に入ったコーヒーについて調べてみると、近い品種のコーヒーを飲んでみたらもっと好みの味だったという事もあるので試してみて欲しい。












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